腰背部痛インタラダクシャン
腰痛症は最も頻繁に出会う愁訴である。激しい痛みの急性期腰痛と慢性腰痛に分けられる。骨格の問題、椎骨のずれ、神経圧迫、ヘルニア、筋肉の麻痺、心理的問題など色々な原因で発症するものと考えられる。器質的問題が発見されない限りは、普通、筋肉性の問題と考えて良いと思う。 ぎっくり腰などと言われる急性期の痛みは、前触れもなく突然痛み出すことが多い。歯を磨く、一寸体を捻るといった、およそ筋肉に負担をかけたと思えない出来事で痛み、ひどいものでは歩くのもままならない。慢性腰痛では、激痛と言うほどではないが、いつも不快な感じが残る。これらでは主となる筋肉が異なると考えられている。 医療機関での主な治療法は、同様あるいは類似のやり方が腰痛以外の他の愁訴でも行われることが多い。薬物、物理療法、理学的療法、外科的療法、注射など、運動法、装具による固定などである。 薬物では鎮痛剤や筋弛緩剤の他、三環系の抗うつ剤が用いられることもある。しかし、決め手となる方法は確立していない。次項以降でも折に触れ説明する。また、筋肉性の腰痛の他に、腹部や骨盤臓器の問題、血管の疾患、新生物、風邪などでも腰痛が起こることがある。
※関連して考えておく疾患: 編
腰痛において考えておくべき疾患
*,骨盤臓器痛
臓器における問題が引き起こしている痛み、いわゆる病気。前立腺や大腸のポリープ、過敏性の腸の問題などが多いようだ。施術に適していない。医療機関への受診が必要。医師の指示の後、問題がなければ、施術して効果の上がるものはある。
*,長・短下肢症
片側の足長が異なることは、よく見られる。先天的なもの、後天的なものがある。後天的なものでも、自己などの外傷により器質的に短下肢となっている場合と、筋肉的問題によって、短下肢の状態になっているものがある。どちらかの足が、長いあるいは短い状態では腰部の筋肉群に負担をかけ、腰部、下肢部から背部、頸部などに愁訴を発現する可能性がある。実際には、両脚の長さに差があっても何の問題も生じない人は多い。しかし、愁訴を持つ者にとっては、考えるべき問題のひとつと言える。外観上は骨盤の傾き、脊椎の側わんがみられる。足の短い側では、肩が下がり、尻の盛り上がりも小さく、殿溝も低い。足の長い側では、肩が上がり、出尻、、殿溝の位置も高い。骨盤の動きでは、普通、前方に回転したとき、腸骨稜の位置は高く長足、後方に回転した時は、腸骨稜の位置は下がり短足となる。検査法は普通、仰臥位で足を合わせて比較する方法が普通だが、立位で短足にゲタ(本など調節の利くもの)を履かせて、骨盤の高さ、肩の水平を取る事で確認する方法がより正確に思われる。
*,姿勢の問題
不自然な姿勢は腰痛の原因、引き金となる。重いものを持ち上げる時やコンピュータディスプレイの位置、椅子と机の関係など毎日の動作に係わりそうな、不自然な動作には注意を払い、是正できるものはする方がよい。特に慣れない動作は要注意。座り仕事の人の週末の運動、運動強度の強い仕事でもいつもと異なる内容の後などに、症状が出ることが多い。
*,急性腰痛
ギックリ腰など急な腰痛の発症の機序は分かっているとは言えない。姿勢性のストレスに長時間曝露されたための障害、例えば腰仙靱帯の問題なども考えられる。炎症、筋膜炎を伴っていないことも多い。椎間板ヘルニアが原因となっているという考えには否定的見方が主である。痛みは自然に解消する事も多いが、施術が助けになることも多い。特に数日を経ても痛みがある場合には有効なことが多い。
*,坐骨神経痛
椎間板が神経根を圧迫して痛みが出ると考えられた来た。特に腰椎下部、4番から仙骨の椎間板が第五腰神経根、第一仙骨神経根を圧迫し痛みが生じる。前者では臀部から下腿後方を下るやや内側の痛みをおこすが、腱反射に影響はない。背屈力は弱くなる。後者では、
同じように背面を下るがやや外側に感じる。足の底屈は弱くなる。アキレス腱反射も弱まる。実際には圧迫によるものより、その他の原因である事の方が多いとされている。しかし、神経根の問題なのかそうでないのかは、ラセーグテストなどで兆候を見ても、症状を聞いても判別することは不可能で、医師の検査に頼るしかない。検査はCTや造影剤を使った方法が行われているので、検査を行ったかなど患者に良く聞いてみるべきである。圧迫のひどい場合には、外科的方法を指示されているはずである。しかし、より侵害性の少ない方法によって症状が緩和される可能性は高い。この問題では、神経根の障害によらない偽坐骨神経痛ともいうべき症状が多いため、施術の効果を見やすい。
整形外科で通常行われる治療法は、薬物による、牽引、手術が主なもの。薬物では、鎮痛剤や抗炎症剤、ハップ剤、筋弛緩剤などで、比較的効果は感じられるようである。牽引は物理的療法の代表で、ほとんどの方が受けている。5・程度の重りによって引っ張り、脊椎の椎間孔の間を広げ、圧迫を回避しようというモノであるが、十分効果を発揮しているとは言い難い。手術では椎弓切除が行われることがある。髄核の突出が大きい場合に行われることが多い。通常は即手術ということはなく、低侵害性の療法を試した後に考慮される。腫瘍形成やその他緊急の処置が必要場合も存在している。
この他、痛みが数ヶ月あるいは数年の単位で続いている症例も多い。筋の萎縮がみられる場合には、神経根の障害を考える必要があるが、普通は適切な処置がなされなかったために長引いているにすぎない。癌などの疾病の可能性も有する点は注意がいる。
*,椎間板ヘルニア
椎間板の髄核が線維輪の裂け目から漏れだして神経根を圧迫する症状のこと。年齢的に比較的若い時に起こる。髄核の流動性は年齢と共に低下し、硬くなる。線維輪は若いときには裂けにくい。このことから、ヘルニアは条件の揃った年齢的一時期に起こりやすいことになる。また、x線検査で便宜的に診断名が下されていることもあるようである。このヘルニアによって神経根が圧迫され、痛みが出ているときの医学的処置法は、坐骨神経痛の項の通りである。
*,椎弓切除疼痛
突出した髄核を取り除き痛みを治療しようと言うのが椎弓切除術である。神経根の圧迫がひどい場合には、即手術が行われることもある。この手術の後に痛みが取れずに来院する方もいる。全体ではこの方法による痛みの除去率は50〜60%とされているので、決して完全な方法ではないようだ。施術方法は坐骨神経痛と同様である。また、手術の痕が痛みの原因にもなりうるので、これも注意が必要。
*,脊椎固定術後痛
椎弓除去などを行った後も、結果が良くない場合に、脊柱をの支持力を強化しようという目的で試みられる。以前はこの手術を受けた後に来院する方も多くみられたが、近年は余りいない。最近は余り行われないようになったのだろうか。痛みの除去率は高くないようである。
椎間変形痛
脊椎の変性、変形によって最終的に神経根の圧迫がおき、愁訴の症状が出たと考えられるものの総称。腰椎の変性は加齢と共にすすみ、40代で5割、50代で7割、70代で9割にみられるという。しかし、変性と愁訴の間に明確な関係は確かめられていない。このことから、変形とされた患者でも愁訴と変形が無関係の者が多数含まれると思われる。
*,脊椎すべり症
ある腰椎が相対的に前方へ移動した事で愁訴が発生していると考えられるもの。腰椎4番5番におこったものがそのほとんどを占める。一般的に活動時に痛み、安静で減弱する。
*,脊柱管狭窄症
加齢などの影響で椎体の変性によって、脊柱管が狭くなって痛みや痺れなどを感じる症状のこと。常時痛みがあり、歩行など活動で悪化する事が多い。中年期以降の男性に多く、少し前屈みのサル、類人猿歩きになるのが、外観的特徴。両足がだるい、重いや腰が痛い、だるい等の症状がある。長時間の立位も背部につらさをもたらす。この時は痛みよりだるい、張ると言う感じを持つ。足自体に問題があるわけではないので、歩くのはつらいくても自転車は大丈夫。スポーツジムで自転車こぎ運動を続ける事は出来る。運動不足自体はジムの利用などを勧める事で解決できる。手術で腹筋を切っている場合も、術後年数が経ってこのような症状に移行している事もあるようだが、確認はとれない。このような腰痛には、コルセットなどが処方されることがあるが、大変高価な割には効果があるという証明はなされていない。また、動かさないために、長時間の装用、筋の萎縮をもたらす場合もある。また、運動療法により腰部の筋肉を鍛えることによって、腰痛を防止するという証拠も、いまのところ無い。
*,過敏性大腸炎
あるいは過敏性腸症候群と診断される事もある。臓器自体には器質的に何の原因もなく、腸管の運動異常や腹痛が3ヶ月以上続くもの。基本的に原因は不明。医師からは「ストレスでしょ」などと言われている。動くと悪化する人もいる。また、事務所にいるときは平気だが、ちょっと外出したら即下痢の症状がでるなどという人もいる。排尿困難、消化異常、女性では月経困難などの症状を呈する人もいる。腰部の問題は全員抱えているようだ。また、腸内にガスが溜まり腰部が冷えたりしても、悪いようだ。医学的に良い治療法は確立していないようだ。
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