あがつま腰痛堂

解剖学と獣医学

データ

骨盤の構造

骨盤は片側の腸骨と仙骨、大腿骨の3つで構成されています。このため全体では6個の骨で考えます。直立二足歩行を受けて全体重を背面の腸骨と仙骨が受けて大腿骨に乗せています。前後のバランスをとるためのS字湾曲により骨盤は前傾し、二足歩行特有の新たな問題として内臓を支える骨盤底膜を構成します。ここで骨盤のゆがみという問題がありますが、腸骨と仙骨をつなぐ場所に仙腸関節という関節があり、これが大きくずれるというものです。現実には仙腸関節はそれほど大きくずれるものではありません。逆に大きくずれることができないので、わずかな歪みでもかかる歪みの圧力は大きいといえるでしょう。

骨盤のアーチ 圧力

先に腸骨と仙骨が圧力を受けるといいましたが、これは背面のことで、腹面に物理的にこれに拮抗する何やらのものが必要なわけです。この拮抗するものがそけい靱帯だといわれています。このそけい靱帯は上前腸骨棘という骨盤の前にある突起と恥骨をつなげる靱帯です。これが通常は目立ちませんが、大きく骨盤のゆがんでる方にはカチカチに張っていたり石ころが入っているかのように膨らんでいる方もいます。これは背面の骨盤のアーチの圧力が崩れた結果反力で支えている状態といえるでしょう。

骨盤とお尻

直立二足歩行の直立の際には体重を下肢ですべて受け取らなければなりません。このため、人の大殿筋は大きく発達して骨盤と大腿骨を支えています。四足動物でお尻が人間のような動物はいないのはこういうわけです。これが人の特徴の一つであるお尻の出っ張りです。ヒップアップしていることはS字がうまく機能して正しく直立しているわけです。逆にでっちりはS字がうまく維持されていないので骨盤を安定させるため筋肉が大きくなった状態ともいえ、お尻が平たんになっている場合は本格的にS字湾曲が崩れている場合と考えられます。ただしS字湾曲は体重でも左右されます。腰痛は直立二足歩行で起こるといわれますが、正確には直立姿勢が正しくとれていないから起こるというべきなのです。精巧なメカニズムで直立しているわけですから、些細なバランスの変化でも機能不全を起こしやすいのです。まして腰痛もちともなれば、骨の可塑性も手伝って全身のゆがみが固定化しており、筋肉がすぐにギブアップしてしまいます。神経痛も結局は同じことです。

太腿と膝

太腿の横にピーンと張った腱の膜があります。これを大腿筋膜張筋といいますが、これは骨盤の受けた体重を大腿骨に平均してかけるために強靭に発達した人間特有のものです。膝関節が痛いのは大腿四頭筋が悪いということが多いのですが、直立姿勢からいうと大腿四頭筋も大腿筋膜張筋と同じで骨盤の安定に使われているものです。ですから、膝の関節のゆがみはまさに骨盤の圧力がゆがんでかかっているといえます。このため、膝の治療をしてもなかなかうまくいかず、股関節や膝関節の人工関節にしても痛みが取れないのもうなずけます。大腿四頭筋は足を挙げる膝を屈曲する筋肉です。

膝と足首 母指球

大腿四頭筋は足を挙げる筋肉で四足歩行とは違い前進の力を発揮しているわけではありません。。前進するのにつかわれる筋肉が主にヒラメ筋と腓腹筋です。これらを伸ばしたり縮めたりすることで足首を屈曲させることで前進しているわけです。膝の痛みは大腿四頭筋と大腿筋膜張筋などで大腿骨にうまく体重を分散できない体重を『四足歩行の動物の持つ強靭な膝』へと体重をかけるように膝に乗せるからというのが正解です。逆の言い方をすれば、四足歩行のように足の蹴り出しを膝で行っている場合です。二足歩行の蹴り出しは、ふくらはぎで行うもので体重を母指球といわれるところで最後に乗せ屈曲させ歩きます。この母指球は中足骨の下についていて、実は中足骨の先端でけり進んでいるわけです。足の裏の土踏まずも人間特有の装置でかかとからつま先まで均等にかかった体重をつま先でけられるように強靭に進化しているわけです。中足骨は5本指の根元の骨でやはり五本ありますが、自由に動く必要がなく結束されています。しかし、靴などの防護装置の影響でのこ結束がずれることがあります。女性にはよく見られるものです。足の裏は関係がないと思うでしょうが、直立しているときは問題はあまりありません。つま先でけりだすときには力が入らず、片ちんばの靴を履いているように歩くわけです。人間はいっぱい歩くので、この足裏のゆがみはずっと上のほうに響いてきます。具体的には首のゆがみに大きく現れます。

獣医学から直立調整  最後 尻尾

なんといっても人間以外の動物との違いは『しっぽ』でしょう。人にはしっぽは見えませんが、実は尾椎と尾骨というしっぽが残っています。直立した結果、人間は唯一内臓の重みを骨盤で受け止めなければならなくなったわけです。そして、種の存続のための産道が骨盤の底部にあいています。これが肛門などの括約筋を含めて骨盤底膜と呼ぶ筋肉群です。この骨盤の底膜を恥骨、坐骨、仙骨でつなぎ支えているわけです。本来、尻尾は体躯より外に出して運動の補助バランスの装置に使っていたりするわけです。そして、人ではこの仙骨から尾椎が特徴です。新生児ではそうでもありませんが、二足歩行に従い尻尾を巻き込むように骨盤底膜が抜けないようにしっかりと支えています。尻尾は出産時に産道を確保するように背面へと動きます。尾椎は実は意外に動きます。骨盤の安定をさせる強力な大殿筋がくっついていますので、ゆがんだ骨盤では尻尾から仙骨は骨の可塑性で変形していきます。この変形を治していかないと骨盤の歪みは取れません。四足歩行と直立二足歩行の骨盤の中でも大きく違うのは、この骨盤底膜の構造ともいえます。

解説:骨盤底膜の治療

骨盤底膜の治療はどうしているのでしょうか。鍼灸治療で下着を脱いで見せられません。手でマッサージ、この変態野郎!、じゃあ電気をかける?ナンセンス・・・仙腸関節と股関節、膝関節の調整 とりあえず、獣医学からの四足歩行と直立二足歩行の違いの解説は終了します。次のページからは、動物の真似をすることで人間との違いを意識してきた古来の治療法、導引の解説をします。

解説:骨盤底膜の治療

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解説:進化医学と獣医学からの直立調整

進化医学とは?進化生物学に基づいた医学従来の医学では、おもに病気の至近要因を扱ってきた。これは例えば、動脈硬化の原因としてのコレステロールの蓄積やその原因遺伝子の存在である。至近要因は“What(なにが病気を起こすのか)”と“How(どのように病気になるのか)”に答えるものである。一方進化医学では、究極要因(進化的要因)まで拡張して扱う。これは、我々はなぜコレステロールを含む食事を好むのか、また、原因遺伝子はなぜ自然選択によって取り除かれなかったのかを考える。こちらは“Why(なぜ病気になるのか)”に対する答えである。

・・・骨盤の仙腸関節が動きを止める(健全な直立二足歩行ができない状態)と全身が柔軟性を失いナックルウォークの様(大型類人猿)を呈してくる。やがて肩甲骨が硬直し首の機能(甲状腺・腋リンパなど)を失う。私たちの主張は現実の役立つ結果であるのですが、依然として『そんなことはありえないナンセンスである』と多くの医学者や科学者によって否定されています。そのため重症になってようやくいらっしゃいます(=本当に困った状態に陥らないと我々のもとを訪れません)。逆にちょっとした揉み返しでも腰痛が整形で治らず、当院で治る方でも医師には『怪しい治療はやめなさいと忠告』を受けたり、『そんなところに行くからだ』と私たちの責任にされてきました。

解説:現代医学が否定してきたこと

wikipedia-例えば米山公啓も胸腺を例として挙げ、わずか20数年前までは、"子供のときにだけ役目を果たして、大人になると無用のもの"などと、医学部では教えていたが、現在では、免疫機構で重要な役目をするT細胞というリンパ球が胸腺の中で成熟していることが判っている、と述べている。そして、「本来、人体には、"いらないもの" などというものは無いのではないか、ただその作用が、「現在の科学」の未熟なレベルでは検出できない、というだけのことではないか」と米山公啓は警告した[5]。近代医学においては、"何の役にも立っていない"などと説明される臓器がいくつもあるが、そういった臓器が、後の時代になって、実は非常に大切な役目を果たしていた、と判明するようなことはよくあることである。・・・我々では肩甲骨が動きを取り戻すと自然に腋リンパと甲状腺機能が流れ、それに伴い胸腺(NK細胞など)が活動できる状態になるとしてきましたが、私たちの主張は間違っているのでしょうか?。

例えば1998年ウィンドウズ98の普及によって以来、それまでほとんど見られなかった症状である肩腕の痛みを引き起こす症状が激増してよくある症状になっています(新型五十肩)。この症状は「五十肩=凍結肩(関節包炎)」ではなく漢方医学でいう『書痙しょけい』です。優秀な整形外科医の診断では「胸郭出口症候群」とするようで効果的な治療法はない難治性の症状です。私たちは座位姿勢で胸郭が狭くなったと考えて姿勢を基に戻すことで良好な結果をだしています。

イスに長時間座れば、肩が凝って腰が痛くなって当然です。もし、長時間の座位で肩こりを感じず腰が痛くならなくなったら?~どうやって身体が適応して変化したのか?そこを考えるべきでしょう。生活習慣が変われば姿勢や骨格も変化してきます。数世代でそれに対応した人間の能力の変化や低下も考えてみる必要があるでしょう。私たちは膝を曲げて椅子に座り、キーボードに手をついた状態でいる姿勢は4足歩行に近づく懸念を持っています。机を地面に例えると長い手を地面につけたナックルウォークと近似してくるように思います。おそらく仙腸関節の運動の制限が起きて骨盤の退化を招くと考えています。進化医学的な考察で適切な対応をしなければ、数世代で多くの人が歩くときナックルウォークの大型類人猿のようによちよち歩きになってしまうかもしれません。そもそも人の身体は直立二足歩行のためにデザインされていますが、現代人の生活の大半は机とイスでの長時間のPC作業に多くが充てられているので既に骨盤に変化はあると見るべきで、不調が出てくる以前の骨盤調整の必要があるとするべきでしょう。